Date: 11月 17th, 2008
Cate: 4343, JBL, 黒田恭一
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4343と4344(その1)

「4343のお姉さん」とは、黒田先生が、4344に対して語られた言葉だ。
ステレオサウンドの62号に、こう書かれている。

     ※
4344の音は、4343のそれに較べて、しっとりしたひびきへの対応がより一層しなやかで、はるかにエレガントであった。したがってその音の感じは、4343の、お兄さんではなく、お姉さんというべきであった。念のために書きそえておけば、エレガント、つまり上品で優雅なさまは、充分な力の支えがあってはじめて可能になるものである。そういう意味で4344の音はすこぶるエレガントであった。
     ※
「4343のお姉さん」は、4344の特質を一言で的確に表現されている。
ただ、JBLのラインナップ、技術的な内容から言えば、4345の妹、といったほうが、よりぴったりくる。
黒田先生の表現は、あくまでも4343と4344の比較の上でなされたものだから、
4345に対してどうのということはなくて当然である。

4344は、外形寸法は4343はまったく同じである。
しかし、「4343と103」で述べたようにエンクロージュアのつくりは異る。
フロントバッフルのこともそうだが、補強棧の数、入れ方も大きく違う。

4344では、底板と天板の横方向に補強桟が入っているし、
側板の補強桟も鳴きを抑えるよりも、うまく利用するような方向に変わっている。

補強桟の断面は正方形ではなく長方形で、通常なら、補強桟を横向き、
つまり断面の長辺を補強したい板に接着する。4343もそうだった。

4344からは短辺のほうを接着している。これは現行製品の4348も同じである。

それからミッドバスのユニットは、4345と同じ2122Hに変更されるとともに、
バックキャビティも奥行きが増している。

あまり知られていないようだが、4345と4344のネットワークの回路図を見ると、
まったく同じである。コンデンサーやコイルの定数も同じだ。

ユニット・レイアウトやバスレフポートの位置もそうだし、
4345と4344の開発エンジニアは、グレッグ・ティンバースで、
4341、4343、4350は、パット・エヴァリッジであることから、
4344は4345から派生したもの、4345の妹機と見たほうがいいだろう。

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