カタログ誌(その2)
カタログ誌。
オーディオの世界では、
ステレオサウンドが半年ごとに発行していたHI-FI STEREO GUIDEがよく知られている。
ステレオサウンド本誌よりも高くて、
中学生のころは、その数百円の差がけっこう大きくて毎号は買えなかった。
いつのころからか、
ステレオサウンドをカタログ誌になってしまった……という批判を耳にするようになった。
そういいたくなる気持はわかっても、
カタログ誌には、そういった悪い意味もあるけれど、
HI-FI STEREO GUIDEはきちんとしたカタログ誌であり、いいかげんな編集ではなかった。
とにかくすべてを網羅する。
それがカタログ誌でもっとも重要とされることである。
カタログ誌が、これは載せないなどをやっていてはカタログ誌たりえない。
網羅されることで気づくことは、意外にある。
私が買ったHI-FI STEREO GUIDEは、’76-’77年度だった。
ステレオサウンドで働くようになって、それ以前のHI-FI STEREO GUIDEを見ていた。
’74-’75年度版、これが最初の号である。
’74-’75年度版を眺めていると、
この製品とあの製品は、同じ時代に現行製品だったのか、と驚く。
マークレビンソンのLNP2はもう登場していた。
LNP2が載っているページの隣には、
アルファベット順だからマッキントッシュが掲載されている。
当時のマッキントッシュのラインナップは、
C26、C28の他にチューナー付きのMX115があり、
管球式のC22も、まだ現行製品として残っている。
パワーアンプのMC275も、チューナーのMR71も、この時はまだ現行製品だった。
スピーカーでも、ジェンセンのG610B。
私は、この同軸型3ウェイユニットの存在を、ステレオサウンド 50号(1979年春号)で知った。
その時はずっと以前に製造中止になっていたユニットだと思っていた。
でも’74-’75年度版では、まだ現行製品である。
JBLからは4350、4341といった4ウェイのスタジオモニターが発売されていた。
オーディオ機器にも、世代といえるものがある。
その世代が切り替るのを認識するうえでも、カタログ誌は重宝するし必要である。