カタログ誌(その3)
カタログとカタログ誌は、同じとはいえない。
カタログ誌ときいて、どういうものを思い浮べるかによって、
同じではないか、という人もいようが、私はカタログとカタログ誌ははっきりと分けている。
HI-FI STEREO GUIDEは、まずジャンルごとに分けられている。
スピーカーシステム、フルレンジユニット、トゥイーター、スコーカー、ドライバー、ホーン、
ウーファー、エンクロージュア/ネットワーク、
アンプもプリメインアンプ、コントロールアンプ、パワーアンプ、レシーバー、チューナー、
グラフィックイコライザー、エレクトリッククロスオーバーなど、といったようにである。
さらにブランド別、価格順で掲載されている。
途中から新製品には☆、製造中止の製品には★がつくようになった。
カタログではなくカタログ誌に近い存在といえるのが、
ディスコグラフィ(discography)であるが、
ディスコグラフィとカタログ誌も違う面がある。
私はクラシックを主に聴くために、
ここでのディスコグラフィとは、あくまでもクラシックにおけるディスコグラフィのことである。
ステレオサウンドでは、30号から「ディスコグラフィへの招待」という記事が始まった。
30号ではモーツァルトの三大オペラ(フィガロの結婚、ドン・ジョヴァンニ、魔笛)、
31号ではマーラーの交響曲、32号ではブラームスの交響曲、33号ではカール・ベーム、
35号は小沢征爾、36号はウラディミール・ホロヴィッツ、38号はゲオルグ・ショルティと続いた。
すべてのディスコグラフィは浅里公三氏による。
黒田先生は、31号で、
《もしディスコロジストという言葉がありうるなら、ぼくの知るかぎり日本におけるもっともすぐれたディスコロジストである浅里公三氏によってつくられた》
と書かれている。