「貌」としてのスピーカーのデザイン(その3)
4350とDD66000は、同口径のダブルウーファーとはいえ、
ユニット構成で違うところがある。
4350は4ウェイで、12インチ口径のミッドバスがあり、
中高域のホーンも音響レンズ付きで、大きさもそれほどではない。
DD66000にはミッドバスはなく、中域ホーンも大きく横に長い。
だからDD66000全体が、何かの顔に見えてくるわけではない。
DD66000と同じといえるユニット構成のスピーカーは、昔からあった。
横にウーファーを二基並べ、その上に大型のホーンという構成は、
むしろ以前のほうが多かった、といえる。
それらのスピーカーシステムをすべて聴いているわけではないが、
いくつかは音を聴いているし、大半は実物を見えてもいる。
つまりDD66000以前、それらのスピーカーシステムを見ても、
何かの顔をイメージすることは一度もなかった。
なのに、なぜDD66000は違うのか。
ユニット構成、ユニット配置に起因することではなく、
デザインに起因する。
DD66000以前の同種のスピーカーシステムは、
フラットなフロントバッフルにスピーカーユニットが取り付けられていた。
ウーファーだけがエンクロージュアにおさめられ、
ホーンはエンクロージュア上部に置かれているシステムでも、
フロントバッフルはフラットである。
DD66000の二基のウーファーが取り付けられているバッフルは、
一枚のフラットな板ではない。
それぞれのウーファーを取り付けた板が、角度をもって接合されている。
それだけでなく、DD66000のフロントは、全体的にフラットとはいえない。
中高域のホーンも、ホーン単体で構成されているのではなく、
ホーンの左右は、エンクロージュアの一部でもある。
エンクロージュア下部は、中央が奥に曲線を描いて引っ込んでいる。
ウーファーバッフルの中央が、同一線上にあり、前に出ているのと対照的である。
DD66000のデザインをわかりやすくいうなら、
凹凸のあるデザインであり、私には成功しているとは到底思えないのだ。