「音楽性」とは(その12)
スピーカーは、その原理そのものに革新的な進化はないものの、
物理特性的には、確実に進歩してきている。
測定に正弦波だけでなく、インパルス波が導入され、コンピューターによる解析の導入・進歩によって、
周波数特性も、振幅特性だけでなく位相特性においてもあきらかに改善されてきている。
その他の項目についても同様だ。
ステレオサウンド 54号がでたのは1980年。もう30年以上も前のことだ。
この54号でも、座談会で、スピーカーの物理特性が良くなってきたことが語られている。
確実に、その意味での完成度は高くなっている、といっていいのだろうか……。
それとも大きな欠点は、ほぼなくなりつつある、といったほうがより的確だろうか。
それでも「音楽の響かせ方、歌わせ方」にあきからに問題のある(と私には感じられる)スピーカーは、
やはり存在する。しかもこれは物理特性とは関係なく存在している、とともに、価格とも関係なく存在している。
ひじょうに高価なスピーカーシステムの中に、
どう聴いても「音楽の響かせ方、歌わせ方」がおかしいんじゃないか、と思わせるモノがある。
しかも、そういうスピーカーシステムが、ステレオサウンドで受賞していたりする。
すると、お前の耳、もしくは感性がどこかおかしいのだろう、と言われるだろう。
仮にそうだとしても、この項の(その1)や、「AAとGGに通底するもの」の(その6)に書いた例は、
決して譲ることのできない、音楽がひどく変質した実例だ。