セッティングとチューニングの境界(その14)
「オーディオは趣味なのだから……」
鍛えるとか、鍛えられるとか、そんなことは趣味であるオーディオには無縁のこと。
──こういう考えがあってもいい。
こういう考えの人にとってのオーディオの師とは、
オーディオの楽しみを教えてくれた人、ということになる。
二年前の春、映画「セッション」(原題:WHIPLASH)について書いた。
この映画についての否定的な意見を、そのころfacebookでよく見かけた。
しかも面白いことに映画を観た上で書いているのではなく、
予告編だけを見てのものだったり、
誰かがこの映画について書いたものを読んでの否定的な意見が大半だった。
音楽をやるのに、この映画で描かれているようなことは必要ない。
楽しく、音楽を学んでいければいいのに……、
そんな感じが根底にある意見をいくつも見た。
鍛え鍛えられる──、
そんなことからは無縁でいたいのだろうか、とそれらの意見を見ていて思った。
オーディオの楽しみ方、関わり方は、人それぞれであっていい。
けれど、それは音楽との関わり方にも深く関係することである。
(その11)と(その12)で、私は恵まれていた、と書いたのは、そういうことである。