Date: 12月 7th, 2016
Cate: アナログディスク再生
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対称性(その8)

B&OのBeogram以前にもリニアトラッキングアーム搭載のプレーヤーはあった。
マランツのSLT12がそうだし、ナショナル(まだテクニクス・ブランドができる前)のFF253などがあった。
だが1976年ごろは、B&O以外のリニアトラッキングアームのプレーヤーが、
他にどういうモノがあったか、すぐに思い出せる人は少ない。

1977年になると日本からマカラが登場し、
海外ではルボックスからも登場した。
その後、国内からはヤマハ、ダイヤトーン、テクニクス、パイオニアなど、
海外からはハーマンカードン、ゴールドムンドなどからも出てきた。
さらにリニアトラッキングアーム単体も登場してきた。

そういう時代を見て(聴いて)感じるのは、リニアトラッキングアームは、
理想なのか、理想とまではいえなくとも理想にもっとも近いトーンアームの形態なのだろうか、
という疑問である。

レコードのカッティングではカッターヘッドは半径方向に直線に移動する。
リニアトラッキングアームも同じである。
その意味では、カッティング時と再生におけるトレース時の対称性はある、といえる。
一般的なカートリッジの針先が直線ではなく、円弧を描くトーンアームでは、
カッティング時との対称性は崩れてしまっている。

リニアトラッキングアームの問題点は、いくつかある。
これらすべてを解消した、としよう。
そうなったら、通常の円弧を描くトーンアームよりも圧倒的に優れている、となるのか。

カッターヘッドの針先とカートリッジの針先の軌跡。
この点だけで判断すれば、リニアトラッキングアームにまさるモノはない。

けれどカッターヘッドとカートリッジが、構造的に対称性がないといえる。
ウェストレックスのカッターヘッドとウェストレックスのカートリッジ10Aは、
構造的に対称性がある。
10Aというカートリッジならば、リニアトラッキングアームに装着することで、
カッティング時との対称性は非常に高い。

実際のカートリッジは10Aのような構造になっていない。
カッターヘッドと相似の構造とはいえない。
そういうカートリッジが、トーンアームの先に取りつけられている。

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