ステレオサウンドについて(その91)
ステレオサウンド 56号の特集には不満があるといえばある。
55号の特集ベストバイに対する大きな不満とは違うけれども。
それでも56号はよく読み返していた。
特集の瀬川先生の文章だけでなく、
ザ・ビッグサウンドではJBLのパラゴンが取り上げられていて、
これも瀬川先生が書かれている。しかも、いわゆる解説記事ではなかった。
この記事の最後に、書かれている。
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本当なら、構造の詳細や、来歴について、もう少し詳しい話を編集部は書かせたかったらしいのだが、美しいカラーの分解写真があるので、構造は写真で判断して頂くことにして、あまり知られていないパラゴンのこなしかたのヒントなどで、少々枚数を費やさせて頂いた次第。
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それまでのザ・ビッグサウンドよりも文章の量は多く、詳細な製品解説ではなかった。
瀬川先生らしい、と思って読んでいた。
いまおもうと、50号での座談会でのご自身の発言を実現されての文章なのか、と思う。
熱っぽく読む。
そのために必要なこと。
それが、56号には感じられる。
それは新製品紹介の文章にもいえる。
瀬川先生はトーレンスのReferenceとロジャースのPM510について書かれている。
このどちらからも、同じことを感じた。
56号は、私にとって瀬川先生の文章を堪能できた一冊だった。
そして巻末には、岡先生による「虚構世界の狩人」の書評も載っている。