私的イコライザー考(妄想篇・その13)
BOSEの901は、前面に1、後面に8つのフルレンジユニットを持つ。
つまり直接音1、間接音8という比率に基づいたユニット配置である。
専用イコライザーを使うにしても、
グラフィックイコライザー、デジタル処理のイコライザーを持ってくるにしても、
前面のユニットと後面のユニットの補正は同じである。
パワーアンプ一台で九本のユニットを鳴らしているわけだからなのだが、
これを前面と後面とでパワーアンプを独立させたら……、と考える。
そうすれは前面のユニットと後面のユニットに、それぞれのイコライジングが可能になる。
さらにいえば後面の八本のユニットも、
内側にある四本と外側にある四本が同じイコライジングでいいのか、とも考える。
理想はユニット一本に一台のパワーアンプで、それぞれにイコライジングなのかもしれない。
そこまでいかなくともパワーアンプ三台用意して、
前面、後面内側、後面外側に独立したイコライジングを行う。
ただ現実にはユニットのインピーダンスが一本あたり0.9Ωなので、
後面のユニットに関しては0.9Ω×4=3.6Ωでいいとしても、前面はそうはいかない。
0.9Ωはほとんどショートに近い。
BOSEが前面のユニットのみ4Ω、もしくは8Ω仕様で提供してくれなければ、
実験を行うことは無理であるから、その音は想像するしかない。
私は901のイメージがずいぶん変ってくると思っている。
同時にBOSE博士が実現したかったのは、そこにあるのではないだろうか、とも思う。
製品化のためには九本のユニットを直列接続して、
専用イコライザーという形にまとめることが必要だったはずだが、
BOSE博士が頭で描いていた901の本来の姿は、もしかする……、と思わずにいられない。