日本のオーディオ、これまで(パイオニア SH100・その3)
点音源から発せられた音は球面波で拡がっていくため、
音源と距離が増すごとに音圧は低下していく。
伝声管が、数百m離れていても音を明瞭に伝えられるのは、
伝声管の中では、球面波ではなく平面波の状態に近いためだ。
そのため伝声管の径は音の波長よりも十分に小さい径でなければならない。
径が十分に小さければ拡がっていくことができないからであり、
平面波の伝搬と言え、遠くまで、文字通り声(音)を伝えることができる。
音速を340m/secとして、340Hzで波長は1m、3.4kHzで10cm、6.8kHzで5cm……となっていく。
十分に小さい径がどの程度なのか勉強不足なのではっきりといえないが、
伝声管の径は小さいほど高域まで伝えられる。
そうなるとどこまで細くしていくのがいいのか。
耳の穴と同じ径あたりが最適値なのではないだろうか。
この状態が、音響インピーダンスがマッチングがとれている、といってもいいはずだ。
耳の穴よりも径が細すぎては、隙間が生じそこから音が逃げていく。
音響インピーダンスがマッチングしていない、ということになるし、
径が太くても、管の中を伝わってきた音すべてが耳の穴に入るわけでもなく、
これも音響インピーダンスがマッチングしていない、となる。
伝声管は、スピーカーと対極のところにある、といえる。
スピーカーから放出された音は、そのすべてが聞き手の耳の穴に入るわけではない。
その意味では音響インピーダンスのマッチングは著しく悪い、とも考えられる。