Date: 10月 9th, 2016
Cate: ステレオサウンド
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ステレオサウンドについて(その69)

ステレオサウンド 53号の表紙はSUMOのThe Goldである。
1979年12月に53号は出ている。

この時点で、私が欲しかった(憧れていた)パワーアンプは、
マークレビンソンのML2が筆頭で、製造中止になっていたけれどSAEのMark 2500が次にいた。

このころの私は、男性的といわれる音を特徴とするボンジョルノ設計のアンプには、
優秀なアンプであり、ユニークな存在であっても、どこか無関係な世界のこととして捉えていた。

だから53号の表紙から六年後、このアンプを手にしていようとはまったく想像していなかった。

53号の特集は49号に続く、第2回《STATE OF THE ART》賞と、
52号から続きで、アンプテストの二本立て。

《STATE OF THE ART》賞で私の目を引いたのは、アルテックのmodel 6041だった。
理由は瀬川先生が書かれていたからだった。

いくつかの注文をつけられながらも、Model 6041を高く評価されていた。
     *
エンクロージュアのデザインにJBLの♯4343WXを意識したのではないかと思えるふしもあるが、その音質は♯4343とはずいぶん傾向が違う。というより、いくら音域を広げてもマルチ化しても、やはり、アルテックの昔からの特徴である音の暖かさ、味の濃さ、音の芯の強さ、などは少しも失われていない。
 ただ、604-8Hの低音と高音を補強した、という先入観を持って聴くと、620Bとかなり傾向の違う音にびっくりさせられるかもしれない。620Bよりもかなりクールな、とり澄ました肌ざわりをもっている。ところが♯4343と聴きくらべると、♯6041は、JBLよりもずっと味が濃く、暖かく、華麗な色合いを持っていて、ああ、やっぱりこれはアルテックの音なのだ、と納得させられる。
     *
これだけで、すぐにでも聴いてみたいと思った。
瀬川先生は、Model 6041のスーパートゥイーターを、
JBLの2405よりも聴き劣りする、と書かれている。

ならばこのスーパートゥイーターが改良されて、
モデルナンバーも6041IIとかではなく、6043にでもなれば、
相当に完成度の優れた、そして4343の独走態勢にストップをかける存在に成り得るようにも感じた。

4341が4343になり独走態勢に入ったように、
Model 6041もModel 6043になれば……、そんなことを思っていた。

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