日本のオーディオ、これまで(パイオニア SH100・その2)
飛行機に初めて乗ったのは18のときだったから、いまから35年前。
びっくりしたというか、意外に感じたのは、音楽を聴くために用意されていたモノだった。
これも聴診器といえるモノだった。
いわゆるチューブで、ひじ掛けにある穴に挿し込むだけである。
イヤフォンやヘッドフォンではない。
振動板がチューブ内にあるわけではない。
最初はなんて原始的なモノ。
こんなのでまともに音が聴けるのか、と、
すでにいっぱしのオーディオマニアのつもりでいたこともあって、バカにしていた。
それでも機内では退屈なので使ってみると、
意外というか、原理を理解してみれば当然といえるのだが、
まともな音がしていた。
飛行機といえば、古い時代を描いている映画で爆撃機が登場すると、
操縦席と尾部とのやりとりは、電気をいっさい使わない伝声管による。
飛行機だけでなく、軍艦でも伝声管は登場する。
伝声管とは金属の管である。
マイクロフォンもスピーカーも、アンプも必要としない。
それでも数百mの距離、かなりの明瞭度で声を伝えられる、とのこと。
いまでも軍艦では、電源が喪失した場合のバックアップとして伝声管を備えているともきく。
人の声をできるだけ遠くまで届ける技術として、
伝声管はローテクノロジーといえるわけだが、決してロストテクノロジーではない。