オーディオの楽しみ方(つくる・その2)
以前はさまざまなキットがあった。
スピーカーからアンプ、アナログプレーヤーなど、という意味でのさまざまなキットと、
ハンダ付けができれば完成する簡単なモノから、
マランツのModel 7、Model 9といった、
ベテランでも完成させるのが難しいレベルのモノまで、という意味でのさまざまなキットである。
このころは税制がいまとは違っていて、
完成品にかけられる税があって、キットという未完成品には税が免除されていた。
そういうこともあって、キット専門のメーカーもあったくらいだ。
日本ではKE(京浜電子工業)、ケンクラフト(トリオ)、ラックスキット(ラックス)、
クリスキット(ユナイト)、SSL(ステレオサウンド)などが、
キット専門ブランドとしてあった。
これら以外に、アイデン、コーラル、ダイヤトーン、フォステクス、マイクロ、オンキョー、
パイオニア、タマサウンド、タムラ、テクニクス、ビクターなどもキットを販売していた。
海外ではヒースキットがキット専門ブランドで、ソニーサービスが輸入していた。
ダイナコ/ハフラーは有名だし、
ブラウン、グッドマン、KEF、ピアレスもスピーカーキットを出していた。
中でもラックスキットが、キットには関しては圧倒的に積極的だった。
製品数も多かったし、アンプだけでなく、アナログプレーヤーもあったし、
真空管のエレクトリッククロスオーバーネットワークもあった。
キットでしか出ていないモデルがあった。
当時は、ラックスキット、よくやってくれている、ぐらいに思っていたが、
アフターサービス面では、完成品よりも場合によっては手間も時間もかかることが発生する。
ラックスキットを購入したことがないので、
どの程度までアフターサービスでカバーしてくれるのか実体験としてはないが、
ラックスキットのアフターサービスが悪かったというウワサは聞いていないし、
むしろいいということを聞いたことがある。
キットをつくる人のレベルもさまざまだ。
プロを超える人もいれば、
ハンダ付けの技術も未熟な人が、いきなりレベルの高いキットに挑戦したりもするわけで、
そういう例であってもアフターサービスするのは、
完成品を組み立てるよりも大変なことは、容易に想像できる。