オーディオの楽しみ方(つくる・その3)
事実は小説よりも奇なり、とはよくいわれることである。
ラックスキットのアフターサービスはたいへんだろうな、という私の想像を、
現実ははるかに上廻っていたことを、さきほど知った。
facebookに(その2)へのコメントがあった。
そこにはリンク先があった。
AV Watchの記事へのリンクで、記事のタイトルは
「52年前のアンプも復活!“末永く使う”視点で探るオーディオの魅力。ラックスマン修理現場に潜入」。
約二年前の記事だ。
先ほど読み終えたが、実におもしろかった。
修理という現場の大変さ、と、
そこにいる人たちのプロフェッショナルぶりが伝わってくる。
ラックスキットの話も、当然出てくる。
このところだけ引用しておこう。
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-修理に運び込まれる機器の中で、特に強敵というか、修理が難しかった製品はありますか?
土井:特にこの製品というのは無いですね。あえて言えば、アンプを自作するキットも販売していたので、キットの修理は強敵でしたね。お客様が作ったものを修理するわけですから、そもそもキチンと完成しているのかわからない状態から直さねばなりません。
ケースを開けたらまず蜘蛛の巣のようなグチャグチャな配線があって(笑)、普通は抵抗パーツの足を短く切ってハンダ付けしますが、切らずに長い足のまま取り付けられていて、しかもハンダ付けではなくボンド付けというのもありました。ケース開けたら基板が全部ボンドで黄色いんですよ。思わず「これ、音出ていましたか!?」って聞いたら、「初めは出ていましたよ」と(笑)。ボンドでも最初は接点が繋がっていますが、だんだん電気が通らなくなるんです。もうこうなると、全部ハンダ付けからやり直し、キットの作り直しですよね。お客様から「もうこのキットはあげます。新しいのを買います」と言われたこともあります。
*
ハンダ付けではなく、ボンド付け。
しかもリード線を切らず、にである。
このレベルがあるとは想像できなかった。
どんな人であっても、うまい下手はあっても、ハンダ付けだけはなされているものだと思っていた。
キットは、自分で部品を集めるわけでもないし、
回路を設計するわけでもない。図面を引くわけでもない。
だから、プラモデルみたいなモノだと小馬鹿にする人もいるけれど、
キットはそういう見方をするものではない。
とはいえ、ボンド付けでは、まさしくプラモデルみたい、としかいいようがない。
ラックスのサービスマンは、こういうレベルで組み立てられたモノでも、
一から修理をしようとする。修理不能でことわってもいいだろうに……、と思うけれど。
AV Watchの、この記事(インタヴュー)は、
他にも引用したいところがいくつかある。
リンク先の記事をぜひ読んでほしいので、このへんにしておく。
昔マークレビンソンのアンプとモジュール構成が話題になっていた時期、
マッキントッシュのアンプ内部を、エポキシ樹脂で充填してしまったユーザーがいた、
という話をエレクトリの人から聞いている。
これも修理したそうである。