素材考(柔のモノ・その4)
ステレオサウンド 60号に菅野先生のリスニングルームが載っている。
それ以降のステレオサウンドにも何度か載っている。
手元にある方は並べて見較べると、ある変化に気づかれるだろう。
変化はひとつだけではないのでヒントを書いておくと、
スピーカー・エンクロージュアの上に注目してほしい。
それはただ乗っているだけではない。
間には柔のモノが使われている、とだけ書いておこう。
菅野先生から、いろいろ試してみた、という話を聞いている。
そしてあるモノに落ち着いた、ということだった。
ゴムやフェルトなど、そういったモノを使うとき、
何を選ぶのか。
私は基本的には自然の素材をまず試してみるようにしている。
天然ゴムもそうだし、フェルトも使えば、木や紙もある。
その後に人工のモノを試すようにしている。
1980年に入ってからか、ソルボセインという素材が登場した。
優れた振動吸収性を持つ、というこの素材は人工筋肉として開発された、ということだった。
青いシートで売られていた。
いまではかなりポピュラーな素材のひとつである。
もちろんずっと以前に試してみた。
この手のものは、どこかにどう使うかということの方が重要であり、
ただ単に敷いてみた、ぐらいの使い方では、はっきりとしたことは何も言えない。
ソルボセインを使っていて気になったのは、触った感じだった。
あまりいい感じはしなかった。
自然素材のいいところは触った感じの良さもある。
結局のところ(といっても私が試した範囲ではあるが)、
おおむね触っていい感じのするものが、音でも好結果につながるところがある。
必ずしも絶対とはいえないけれど、
スピーカーやアナログプレーヤーにおいては、その傾向が顕著であると感じる。
ソルボセイン以降もさまざまな新素材が登場している。
消えていったものもある。
それらすべてを触っているわけではないし、試してみたわけでもないが、
最近、興味深い素材があるのを知った。
Technogel(テクノジェル)という素材だ。