Date: 9月 22nd, 2016
Cate: 素材
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素材考(柔のモノ・その3)

セレッションのSL600のエンクロージュアの材質は、
軽くて高剛性のアルミハニカムである。

セレッションの技術者は、最初はがっちりとしたつくりにした。
両側板、天板、底板をがっちりと接着していた。
ところが、意に反して、冴えない音がしたそうである。
最終的には一個所、ハニカム素材の接合面に緩衝材をいれている。

SL600とSL6の違いはエンクロージュアの材質だけでなく、
専用スタンドも違う。

SL6用は木製だったが、SL600用は鉄製で支柱のパイプの中には軽石に似たものがつめられている。
クリフストーンスタンドと呼ばれていた。

エンクロージュアの高剛性化にともなってスタンドの剛性も高くなったわけだが、
スタンドの天板とSL600の底板との間に、
付属してくる粘着性のあるゴムを挿入するようになっている。

最初は私もそのゴムを使っていたが、
しばらくしてあれこれいろんな素材を試してみた。
大半はゴムよりも硬いもの、剛性のあるものだった。
結局は、付属のゴムに戻ってしまった。

ハニカム素材をスピーカーに積極的に、そして最初に導入したのはダイヤトーンだった。
ウーファーの振動板に採用している。
ダイヤトーンは振動板には積極的に新素材を採用してきた。
ウーファーだけでなく、ドーム型ユニットの振動板にもである。

そのダイヤトーンは、エンクロージュアの材質は、昔ながらの木である。
なぜかここに新素材を採用してはこなかった。
試作品ではやっていたのかもしれない。はっりきとしたことはわからない。

セレッションは反対にエンクロージュアには高剛性のハニカム素材を採用していたが、
ウーファーの振動板は高分子系のもので高剛性とはいえない。
トゥイーターの振動板は銅。金属だからその分剛性は高いけれど、
金属の中では剛性が高いとはいえない銅である。

高剛性でガタつきのないモノは理想なのかもしれない。
でもそのための高剛性とは、いったいどれだけの高剛性なのか。
もっともっと剛性を高めていければ、そしてガタつきを極限までなくしていければ、
ゴムやフェルトなどの柔らかい(曖昧な)素材を必要としなくなるのかもしれないが、
現状では、どこかにそういったモノを使ったほうが、好結果が得られることが多い。

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