スピーカーシステムという組合せ(セレッションSL600・その2)
セレッションのSL6という小型スピーカーシステムが登場したときのことは、
いまもはっきりと憶えている。
ステレオサウンドの試聴室で、山中先生の新製品の試聴がそうだった。
それまでの小型スピーカーのイメージは、
良くも悪くもロジャースのLS3/5Aによってつくられていた。
すくなくとも私はそうだった。
それを覆したのがSL6であり、
さらにクレルのKMA200(モノーラルで、A級動作200Wのパワーアンプ)で鳴らした音は、
低音域の相当に低いところにおいても見事としかいいようがなかった。
SL6は、だから売れた。
セレッションはエンクロージュアのみアルミハニカムに変更したSL600を続いて登場させた。
SL600は、すぐに購入した。
購入してわかるのは、以前も書いているように、
SL600にはある種の聴感上のS/N比の悪さがある。
いろいろ試してみた結果、
エンクロージュアの材質であるアルミハニカムに起因するものだ、といえる。
SL600を聴感上のS/N比の悪いスピーカーというと、
逆だろう、と思われるかもしれない。
確かによくなっているところはある。
アルミハニカム・エンクロージュアの特質といえる音があるのは確かだ。
でもそれは良い面ばかりでなく悪い面もある、というだけの話で、
それはSL600だけに限った話ではなく、すべてのどんな材質、方式にもいえる。
アルミハニカム・エンクロージュアの可能性は、SL600を鳴らしていて感じていた。
でも、そのままではどうしようもない欠点も感じていた、ということだ。
見た目をまったく気にしないのであれば解決法はある。
けれど、それではあまりにもみっともない見た目になってしまう。
SL600の欠点をはっきりと確認するためには、実験としてそういうことをやっても、
そのままの状態で聴き続けることはしない。
それではどうするのか。
こうすれば解決するのではないか、という方法は考えていた。
でも、それを試すには、当時は無理だった。