ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その18)
変換効率が低い、つまり出力音圧レベルが低いスピーカーであれば、
同じ音圧に得るのには、より大きなパワーを必要とする。
低能率のスピーカーにつながれているスピーカーケーブルにかかる電圧は、
高能率のスピーカーよりも高くなるし、
電流に関しても多くなる。
しかも高能率時代のスピーカーのインピーダンスは、
多くが16Ω、32Ωというものもあった。
アンプがソリッドステートになり、スピーカーのインピーダンスは8Ωが主流になった。
その後、6Ωのモノも増えてきた。
最近では4Ωのモノも当り前のようにある。
低能率で低インピーダンスとなると、
電流はさらに増えることになる。
電力の伝送においては、
ケーブルに起因するロスをできるだけ減らすために、
同じ電力であれば電圧を高くして、電流を抑える。
逆に、電圧を低くして、電流を増やしてしまうと、ロスが増えてしまうことになる。
ロスが増えるということは、ケーブルの影響をより大きく受けている、ともいえる。
低能率・低インピーダンスのスピーカーにつながれるケーブルは、
その意味で太くならざるをえない。
導体が太くなるということは、静電容量も増えがちになる。
静電容量を抑えるには、線間をできるだけ確保するのが効果的である。
そうなるとケーブルは太くなる。
同時に導体そのものの振動も増える。
この影響も、もしかすると低能率スピーカーで聴くほうが、顕著に聴きとれるかもしれない。
増えた振動を抑える対策によって、ケーブルはまた太くなる。