五味康祐氏とワグナー(名盤・その1)
五味先生は「名盤は、聴き込んでみずからつくるもの」とされている。
これを「五味オーディオ教室」で読んで、心に刻んできた。
聴き込んでみずからつくる、とはどういうことなのか。
それは「心に近く」するということだと思う。
だから何もオリジナル盤と呼ばれているモノが名盤ではない。
再発盤、廉価盤とオリジナル盤とでは音は違う。
違って当然である。
でもどれがいいのかは、そう簡単にはいえない。
少なくともオーディオに真剣に取り組んできた人ならば、わかってもらえる、と信じている。
それでもオリジナル盤が、驚くほどの値段で売買されることがある。
希少価値があればモノは高くなる。市場原理だから、わからないわけではない。
でも、そのオリジナル盤は名盤ではない、ということは肝に銘じておくべきだ。
あくまでも、それは名盤とされるモノでしかない。
「名盤は、聴き込んでみずからつくるもの」だからだ。
オリジナル盤で、「耳に近く、心に遠い」ままだったら、それは名盤では決してない。
少なくともあなたにとって、それは名盤ではない。
再発盤で、オリジナル盤よりは音は劣るかもしれない。
それは「耳に遠い」音ともいえよう。
そうであっても聴き込んでみずからつくることで、心に近くすることで、
それは名盤となっていく。
「耳に遠く、心に近い」、こうありたい。
もちろん「耳に近く、心に近い」にこしたことはない。
でも私は「心に近い」だけで、いいではないか、と思うようになってきている。