Date: 9月 3rd, 2016
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これまで(ヤマハNS1000M・その2)

このころのケンウッドは、いまとは違い、メーカー名ではなく、
トリオの高級ブランドとしてケンウッドだった。
L02Aは、1982年当時55万円という、最も高価なプリメインアンプだった。

実際にはマッキントッシュのMA6200が68万円していたから、
正確にはもっとも高価なプリメインアンプとはいえなかったわけだが、

MA6200が海外製ということ、当時の為替からいっても、
L02Aがもっとも高価なプリメインアンプといって間違いではない。

L02Aはプリメインアンプ(インテグレーテッドアンプ)とは、素直に呼び難い面ももっていた。
電源部が別筐体になっていたからだ。

MA6200が常識的なプリメインアンプとすれば、
L02Aはプリメインアンプの最高峰をめざして開発されたというよりも、
アンプとして理想を追求した結果としての形態が、電源別筐体のプリメインアンプといえた。

このL02Aが鳴らすNS1000Mの音は、みずみずしかった。
NS1000Mは鮮明な音、もしくは鮮烈な音として、登場当時は評価されていたことは知っていた。

その鮮明鮮烈な音も、発売数年が経ち、こなれてきたおかげか、
それほどでもなくなってきたことも知ってはいた。
それでも、NS1000Mからみずみずしい音が聴けるとは知らなかった。

だからといって鮮度の低い音でもなかった。
水には水の鮮度があって、L02Aが鳴らすNS1000Mの音は、おいしく鮮度の高い水だった。

みずみずしいは、瑞々しい、と書くけれど、水々しい、とも書く。
水々しいのほうが、この時の音にぴったりとはまではいわないが、
瑞々しいと書いてしまうと、これも少し違うニュアンスを感じて、みずみずしいとしておきたくなる。

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