第68回audio sharing例会のお知らせ(柔の追求・その6)
ハイレゾ、ハイレゾと囂しい。
ハイレゾという略語がいいとは思っていないから、よけいにそう思う。
と同時に、高域再生限界を拡げるために、
トゥイーターの振動板には軽くて剛性が高くて内部音速が速い素材が採用される。
ピストニックモーション領域の拡大のためである。
この手法は、いわば剛の追求である。
けれどスピーカーの世界(振動の世界)には、柔の追求もあると、
世紀が代ったころから考えるようになってきた。
柔の追求という視点で、これまでのスピーカー技術をもう一度みていくと、
古くから、剛の追求(ピストニックモーションの追求)とは違う動作方式、
つまり柔の追求からの方式があったことに気づいた。
ATM(ハイルドライバー)、ウォルッシュドライバーも古くからある。マンガーユニットもある。
まだまだ数は少ないし、剛の追求がメインストリームであることに変りはないだろうが、
柔の追求はスピーカーの動作方式だけではないと考えている。
デジタルにおいても、PCMはいわば剛の追求なのではないだろうか。
サンプリング周波数、ビット数をCDの44.1kHz、16ビットから増していくハイレゾは、
ピストニックモーション追求(剛の追求)と同じ性質といえよう。
ハイレゾにはDSDがある。
この方式は、デジタルにおける柔の追求といえるように考えている。
PCMとピストニックモーション。どちらも剛の追求である。
DSDと非ピストニックモーション。どちらも柔の追求である。
聴き手には、選択の自由がある。
PCMと非ピストニックモーション(剛と柔)、
DSDとピストニックモーション(柔と剛)も、現実には聴くことができる。
剛と剛、柔と柔、剛と柔、柔と剛とがあるわけだ。
ハイレゾ、ハイレゾと騒ぐのはいいけれど、
剛の視点、柔の視点、どちらからも捉えていくことを忘れてはならない、と思う。
9月のaudio sharing例会は、7日(水曜日)。
今回はひさびさにゲストに来ていただく。
無線と実験にATMの記事を発表された渡辺成治氏が来てくださる。
ATMユニットを持参して来てくださる。