Date: 8月 18th, 2016
Cate: 新製品
Tags:

新製品(Nutube・その4)

1970年代終りごろ、出力トランジスターの高周波特性が向上した。
そのころRET(Ring Emitter Transistor)が登場した。
小信号トランジスターを多数並列接続して、
ひとつのパッケージにおさめたといえるトランジスターである。

小信号トランジスターは出力トランジスターよりも高周波特性が優れている。
ならばそれを並列接続することで、より大きなパワーを扱えるようにしたモノである。
パイオニアのパワーアンプM25に採用されていた。

ネルソン・パスが数年前だったか、同じ考えに基づくパワーアンプの記事を公開していた。
小信号FETをかなりの数並列接続することで、出力トランジスターを用いないパワーアンプを作っていた。
回路的には特に難しいところはない。
ただただハンダ付けを丁寧にこなしていくことが求められるアンプ製作である。
人によっては気が遠くなるような作業に感じられるだろう。

小信号のデヴァイスを並列接続して使うという手法は、真空管でもある。
ラジオ技術で武末数馬氏がECC81を片チャンネルあたり八本使用したパワーアンプを、
1981年(だったと記憶している)に発表されている。

入力された信号はトランスによる位相反転され、その後はECC81の8パラレル・プッシュプル回路である。
いわゆる単段アンプである。出力は5W+5Wと記憶している。

コルグがNutubeの出力管版を開発していくのかどうかはわからない。
出てこないかもしれない。
出てくるにしろ出てこないにしろ、Nutubeを武末氏のECC81アンプのように複数並列接続すれば、
数W程度の出力のパワーアンプは作れるはずである。

ECC81は傍熱管だが、Nutubeは直熱管。
片チャンネル八本使っての8パラレル・プッシュプルで、どれだけの出力がとれるだろうか。
100dB超えのスピーカーう使っていれば、数Wの出力でもいける。

Nutubeによるパワーアンプ、
予想以上のパフォーマンスを発揮してくれるかもしれない。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]