私的イコライザー考(音の純度とピュアリストアプローチ・その11)
マーク・レヴィンソンという男の評価は、人によって違うし、
私の中でも時代(私の年齢)とともに変化してきている。
それでも……、と思うのは、マーク・レヴィンソンは録音に携わっている。
演奏者としても、レコード制作者としても、である。
もしマーク・レヴィンソンにまったく録音の経験がなかったら、
オーディオパレットを、果してミュージックレストアラーと呼んだだろうか。
オーディオパレットの元にあたるモノをつくったのはディック・バウエンであり、
それをレヴィンソンが望むクォリティにまで高めたのがオーディオパレットでもあるわけだから、
ミュージックレストアラーという発想は、もしかするとバウエンが考えたものかもしれない。
どちらにしろマーク・レヴィンソンは、
イコライザーの本来の意味をどこかに置き忘れていたわけではない。
でも中には、置き忘れている人、イコライザーの意味が頭の中にない人もいる。
そんな人がグラフィックイコライザー、パラメトリックイコライザーを使ったら……、
踏み外してしまった例を私は何度となく聴いている。
イコライザーは、自分勝手な音をつくるための道具では、本来ない。
もちろんそういう使い方を完全否定はしないが、
そういう場合はイコライザーという言葉を使うのはやめたほうがいいとは思う。
こうやって書いていると、dbxが20/20に自動補正機能を搭載したのかが理解できる。
dbxは、イコライザーとしてふさわしい機能としての開発・搭載だったといえよう。