Date: 7月 20th, 2016
Cate: 世代
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世代とオーディオ(JBL SE408S・その9)

「JBL 60th Anniversary」の192ページに、それは記してある。
少々長くなるが、引用しておこう。
     *
 1960年に、アルテック・ランシングのマーケティング組織に重大な変革が加えられた。それまでアルテック製品の国内向けのディストリビューターは、グレイバー社という1社のみで、プロ用サウンド関連会社へのセールスもすべてグレイバー社を通していた。
 ところが、この年にアルテックは、国内向けのディストリビューター網を自社で立ち上げることを決定した。その結果、グレイバー社の製品カタログには大きな穴があいてしまった。そこで、グレイバー社の代理人たちがJBL社と接触し、グレイバー社がこれから取り扱うべき新たなプロ用機器のフルラインナップの開発と、それに関する契約についての提案をしたのである。
 JBL社は、広範囲にわたる製品ラインナップの開発という今回の提案について、ゴーサインを出した。このラインナップには、一連のアンプをはじめ、トランス、ミキサー、さらにはJBLスピーカーユニットのプロ用ヴァージョン化も含まれていた。そのため、家庭用のスピーカーユニットと、そのプロ用ヴァージョンが明確に区別できるよう、すべての新しいプロ用ユニットに使用するための新規鋳造による壺型ヨークも作られた。しかしながら、家庭用製品もプロ用製品も、機械的・電気的に同一であったことは明記しておくべきだろう。
 製品開発は順調に進み、JBLが一般に向けて公式発表を行ったとき、信じ難いことが起きた。理由はいまだに明確ではないが、グレイバー社とJBL社との合意が破棄されたのである。その結果、生産ラインは破棄され、製品は1機種たりとも市場には出なかった。
     *
こういうことがあったのを、「JBL 60th Anniversary」が出るまでまったく知らなかった。
JBLが一般に向けて公式発表を行った、とあるが、これはいつなのだろうか。
1960年以降であることは確かだが、’61年なのか’62年なのか。
そして、ここでの公式発表の内容はどういうものだったのかも、わからない。

けれど思うのは、SE401に採用されたダイキャストフレームは、
この時点でその原型が作られていたのではないだろうか。
だとすれば、私がSE401、SE408Sに感じた、SG520、SA600とは違う血のようなものは説明がつく。

違うのかもしれない、ほんとうのところはわからないけれど、
少なくとも私のなかでは納得がいく。

「JBL 60th Anniversary」の190ページには、
アーノルド・ウォルフが介入し、
ダイキャストフレームに《外観上の美的中心とすべく意匠デザインのメスが入れられた》とある。

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