4343とB310(もうひとつの4ウェイ構想・その6)
JBLのカタログには、4348はまだ残っている。
センタースピーカー用のLC2CHと4348だけが、JBLのラインナップで4ウェイ構成だ。
つまり実質的に4348、1機種のみ、といってもいいだろう。
その4348も、いまオーディオ雑誌で取り上げられることも極端に少なくなっている。
4365、その前に登場したS9900、それにDD66000の取り扱われ方と比較すると、
残っている、という表現が、かなしいかな、ぴったりという感じだ。
(いましがたハーマン・インターナショナルのサイトを見たら、生産完了品につき流通在庫のみ、とあった)
バイアンプ仕様の4350を別格とすれば、4341から始まったJBLのスタジオモニターにおける4ウェイ・システムは、
4343でピークを迎え、そのあとはゆっくりと消えていくような印象すら受ける。
4348のスタイルを見ると、あきらかに4343を意識している、と思う。
スラントプレートの音響レンズを、JBLはもう採用することはないはず。
ゆうえに4343の、インパクトあるデザインは、もうJBLのスピーカーには望めないだろう。
それでも4348は、バスレフダクトの数と位置、そしてインラインのユニット配置、
それにミッドバスフレームの形、こういうところに4343を、わずかとはいえ感じさせる。
だからかえって、4343と、頭の中でつい比較してしまう。
そういうデザインのことは措いて、音に関していえば、
以前も書いたように4343の後継機は4348だろう。
4344よりも、ずっと4343をうまくリファインしたところがあって、
鳴らそうと思えば、1970年代後半の、あの時代の音の片鱗を確実に聴かせてくれる。
4348が、さらに4365の技術をベースにして、
4368といった型番のスピーカーシステムとして再登場したら……、そういったことも考えたくなる。
けれど、現実には、もうJBLから4ウェイのスタジオモニターは、出ない気がしてならない。