日本のオーディオ、これから(AT-ART1000・その3)
オーディオテクニカのAT-ART1000の《2~2.5gの間で最適な針圧を個体ごとに割り出して明記》とは、
製造されたばかり、新品の状態での測定による値である。
いくらかはエージングをすませての測定だろうが、ほとんど使い込まれていないことには変りない。
この測定の条件も針圧とともに明記されているのだろうか。
カートリッジは使い込むモノである。
使っていくうちにこなれてくる面ももつ。
新品時に最適だった針圧が100時間ほど使用したあとでも最適なのだろうか。
カートリッジの使用頻度も違ってくる。
毎日最低でもレコード一枚をかける人と、
気が向いたときにAT-ART1000でかけるという人とでは、こなれ方も違ってくる。
それに日本は四季がある。
穏やかな日もあれば、暑い日、寒い日があり、
さらっとした日もあれば、ひどくじめじめした日もある。
気温も湿度も一年のうちに大きく変化する。
使い手によっては、AT-ART1000の測定された環境(気温、湿度)と違う環境で使われる。
一年中、リスニングルームのエアコンは切ることなく、
屋内温度、湿度を常に一定にしている人は、確かにいる。
その人でさえ、AT-ART1000の測定された環境と同じ温度、湿度に設定しているとは限らない。
私の知っている人の中でJBLのスピーカーを鳴らしていた人は、
カリフォルニアの気候に近づけたいというこで、常に除湿器フル稼動で20%くらいを保っていた。
温度にしても寒がりな人、暑がりな人がいて、
真夏、薄着では寒いと感じるほど冷房を効かせる人も知っている。
そういう人もいれば湿度が低いのは喉にも肌にも悪いといって加湿器を使う人もいるし、
冷房も暖房も効かせ方はほどほどにという人もいる。
もっとこまごまと書いていってもいいが、このへんにしておく。
いいたいのはカートリッジを取り巻く環境はさまざまだし、使われ方もそうだし、
カートリッジそのものも含めて変動していく、ということだ。