Date: 5月 9th, 2016
Cate: 日本のオーディオ
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日本のオーディオ、これから(AT-ART1000・その2)

Phile-webの記事には、こうも書かれている。
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前述のような方式のためにコイルの適正な位置が極めて重要になるAT-ART1000において、針圧は非常にクリティカルな要素だ。そこで本機では、ひとつひとつの個体を測定・調整することで、2~2.5gの間で最適な針圧を個体ごとに割り出して明記。ユーザーはその針圧に合わせてセッティングすることで、最良の音質を楽しむことが可能となる。
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《コイルの適正な位置が極めて重要になる》のはそのとおりである。
だからといって、《2~2.5gの間で最適な針圧を個体ごとに割り出して明記》する必要があるだろうか。
そのことが意味することを、オーディオテクニカはどう考えているのだろうか。

オーディオテクニカは、どこまで最適針圧を明記するのか。
小数点一桁までか、それとも小数点二桁までなのか。

たとえば購入したAT-ART1000の最適針圧が2.1gだったとしよう。
購入した人は針圧計を取り出して、ぴったり2.1gになるように調整するはずだ。
2.11gと明記してあったら、小数点二桁まで測定できる針圧計を用意して2.11gに合わせる。

これでほんとうにコイルの位置がオーディオテクニカが意図した位置にくるといえるだろうか。

オーディオテクニカがAT-ART1000の測定しているのとまったく同じトーンアームの高さであれば、
そういえなくもない。
けれどトーンアームの水平がどこまできちんと出せているかは、使い手によって違ってくる。
それに聴感上完全に水平にするよりも少し上げ気味にしている人もいる。

アナログプレーヤーの調整のレベルは、実にバラバラである。
きちんと調整できている人もいれば、そうでない人も多い。

オーディオのキャリアが長いから、きちんと調整てきているとは限らない。
高級なアナログプレーヤーを所有しているから、調整も万全とはとてもいえない。

そのことは別項「アナログプレーヤーの設置・調整」で書いている。

そういう状況で使われるのがカートリッジであり、
そこに最適針圧を明記したとしても、針圧だけはきちんと調整されたとしても、
オーバーハング、トラッキングアングル、インサイドフォース・キャンセラー、水平(左右の傾き)などが、
きちんと調整されているという保証は、どこにもない、といえる。

トラッキングアングルがずれていたら……、
インサイドフォースのキャンセル量が多かったり少なかったりしたら……、
カートリッジの水平がきちんと出ていなかったりしたら……。

そこに針圧だけをこまかく指定することを、オーディオテクニカはどう考えているのだろうか。
この針圧の明記にも、カートリッジに対する認識不足が感じられる。

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