Date: 4月 20th, 2016
Cate: マッスルオーディオ
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muscle audio Boot Camp(その6)

ステレオサウンド47号「続・五味オーディオ巡礼」を何度も読み返していた高校一年だった私は、
スピーカー内蔵ネットワーク方式で、マルチアンプのよさを出すには……、
反対にマルチアンプ・システムでネットワーク方式のよさも出すには……、
そういうことを考えていた。

多くの人が考えるように、
トゥイーター用のローカットフィルターとウーファー用のハイカットフィルターの干渉を、
どれだけ抑えられるか、について考えていた。

1980年ごろになると国産スピーカーの中に、
ネットワークをエンクロージュア内で分離させているモノが登場してきた。

エンクロージュアの裏側にある入力端子、
この端子の裏側で2ウェイならば二組、3ウェイならば三組のケーブルが、
それぞれのユニットのネットワーク(フィルター)までのびている、というようにだ。

国産のスピーカーシステムで、バイワイヤリングを最初に採用したモデルはどれなのだろうか。
私が見て聴いた範囲では、
ダイヤトーンのフロアー型システムDS5000(JBL・4343と同じ寸法の4ウェイ・システム)だった。

そのころはまだバイワイヤリングという言葉はなかった。
バイワイヤリング方式そのものは、東芝が実用新案をとっていたと、ずいぶんあとになって知った。

エンクロージュア内部でネットワークをそれぞれの帯域ごとに分離させているのであれば、
それをエンクロージュアの外側までのばしていったのが、いわゆるバイワイヤリングの考えである。

バイワイヤリング対応のスピーカーを、
シングルワイヤリングからバイワイヤリングにすれば、ほとんどの場合、音の分離は向上する。
バイワイヤリングでこれだけの効果が得られるのならば、
3ウェイではバイ(二組)ではなく三組に、4ウェイでは四組のスピーカーケーブルで、
アンプと接続できるようにすれば、バイワイヤリングよりもさらに音の分離はよくなる……、
誰もがそう考えるであろう。

私もそう考えた。
JBLの4343のネットワークを回路定数はそのままで、
各帯域ごとに(つまり四つに)分離して、スピーカーケーブルも四組使う、
そんな接続で鳴らしたら……、
4ウェイのマルチアンプ(四組のパワーアンプ使用)とまではいかなくとも、
バイアンプ(二組のパワーアンプ使用)と同等か、
うまくすればもっといい音が得られるのではないか。

そんな都合のいいことを想像していた時期がある。

けれどステレオサウンドの試聴室で、さまざまなバイワイヤリング対応のスピーカーを、
シングルワイヤリングとバイワイヤリングでの音の違いを体験していくうちに、
バイワイヤリングが、シングルワイヤリングよりもすべての面で優れているわけでないことにも気づく。

そのころになって、ようやく直列型ネットワークのことを思い出すにいたる。

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