スーパーウーファーについて(その11)
スーパーウーファーの使いこなしに苦手意識をもっている人は、
実際に確かめたわけではないが、スピーカーの自作の経験のない人かもしれない、と思うことがある。
そのスピーカーの自作も、いきなり2ウェイなり3ウェイといったマルチウェイからとりかかるのではなくて、
最初はフルレンジからはじめて、トゥイーターを追加して2ウェイ、さらにウーファーを追加して3ウェイ、
こんなぐあいに段階を踏んでマルチウェイのスピーカーの自作のことだ。
たとえばカートリッジを交換する、CDプレーヤーを交換する、アンプを交換する、
交換によって生じる音の違いには、エネルギーの総体量の変化は、基本的にはないといっていいだろう。
厳密にいえばワイドレンジのカートリッジもあればナローレンジのモノもある。
アンプにしても、古い古典的な、トランスを多用した管球アンプと、最新のソリッドステートアンプとでは、
やはり周波数特性も違うし、ノイズレベルも異るから、エネルギーの総体量は、決して同じではない。
でも、フルレンジのスピーカーにトゥイーターを足したり、
メインのスピーカーシステムにスーパーウーファーを足すのに較べると、
その差は、ないとはいえないまでも少ない。
つまり上に書いたスピーカーの自作の経験のある人は、エネルギーの総体量の変化に対して、耳が馴れている。
ない人は、スーパーウーファーの使いこなしに対して、臆病になっている、そういう面がありはしないだろうか。
ここから話はズレるけれど、
フルレンジからスタートしたスピーカーに、次の段階としては、
ふつうトゥイーターを追加することが一般的ではないだろうか。
少なくとも、私はそう思っていたし、これは瀬川先生の4ウェイ構想の影響でもあるけれど、
私には、ウーファーを、まず追加する、という発想はなかった。
いま瀬川先生の「本」に関連した作業で、
岩崎先生の文章を先日入力していた。
パイオニアのスコーカーPM12Fについて書かれた文章を読んで、岩崎先生らしい、と思った。
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これをフルレンジとしてまず使い、次なるステップでウーファーを追加し、最後に高音用を加えて3ウェイとして完成、という道を拓いてくれるのが何よりも大きな魅力だ。
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こういう驚きは、気持がいい。