ステレオサウンドについて(その26)
ステレオサウンド 45号で田中一光氏は、コントロールアンプについて語られている。
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マークレビンソンにすると音が細くなるね。ジェリー・マリガンの太いバリトンサックスの感じが出てこない。音楽ソースにもオーディオ機器にも、それが生れた時代の世代観みたいなものがあるように思う。その機械がつくられた時代とレコードが録音された時代が近いとうまく鳴る。そのへんのジェネレーションギャップがあるとどうもうまく鳴らない。
最近の録音が優れているといわれる新しいレコードの音、僕はあまり好きになれない。レンジは広いけれど、音に芯がないように僕には感じられる。僕が好きなのは、モノーラルの後期からステレオの初期、つまり50年代の終りごろの音。コンテンポラリーとかブルーノート、音がしっかりしているでしょ、音に厚みがあって……。
(中略)
スピーカーに世代があるように、アンプにも世代がある。アンプだけグレイドアップして新しいのを持ってきても合わない。
(マッキントッシュのC22につなぎかえて)
どうですか、アートペッパー・ミーツ・ザ・リズムセクション(コンテンポラリー)、だんぜん生き生きとして躍動感が出てくる。やはり古いスピーカーにはこういう球のアンプが合うね。昔大阪で通いつめたバードランド、あの頃に僕はマッキントッシュを聴きすぎたかな。マッキンの音が骨の髄まで滲みこんじゃったとか……。
(中略)
こうしてLNP2とC22を聴いてみたけれど、それぞれに良し悪しがあって、マークレビンソンにすぐ飛びつくということにはならないね。かといって昔なつかしいC22は、高音が少し粗くてがさつになるところがある。しかしね、演奏会に行くとオーケストラでも案外音は粗いものだね。レコードの音はきれいすぎるかもしれない。
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45号当時の田中一光氏のシステムは、スピーカーはJBLのハークネス、
001システムだから130Aウーファーと175DLHドライバー/ホーン/レンズ、
N1200ネットワークということになる。
パワーアンプはマランツの510M。
これは当時のステレオサウンドがリファレンスとして使っていた。
コントロールアンプはマークレビンソンのLNP2とマッキントッシュのC22を比較されているところ。
アナログプレーヤーはヤマハのYP800で、カートリッジはピカリングのXSV/3000である。
別冊「SOUND SPACE 音のある住空間をめぐる25の提案」でも、
《プレーヤーのグレイドアップで音の腰をしっかりさせることと、良いプリアンプを見つけることが当面の課題です》
と述べられている。
《良いプリアンプ》は、
ステレオサウンド 59号の黒田先生の「ML7についてのM君への手紙」へとつながっていく。
田中一光氏のハークネスと部屋は、1993年のステレオサウンド別冊「JBLのすべて」へとつづいていく。