ステレオサウンドについて(その5)
ステレオサウンド 43号の表紙を飾るのは、
セレッションの小型スピーカーUL6とAGIのコントロールアンプ511。
UL6の上に511、これを真正面からとらえた写真が使われている。
この表紙をみるたびに思うことがある。
コントロールアンプとスピーカーシステムということは、
ここには写っていないけれどパワーアンプの存在を意識する、ということだ。
そのパワーアンプとはQUADの405のことである。
AGIの511にはペアとなるパワーアンプがなかった。
開発中という噂はあったけれど、ついに実現することはなかった。
QUADの405に関しても、33というコントロールアンプがあったけれど、
開発年代の違いから、405のペアとなるコントロールアンプととらえている人は少なかった。
誰もが405とペアとなるコントロールアンプ44の登場を期待していた。
44が登場するのはまだ先であった。
そんなこともあって511と405は組み合わされること多かった。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」でも511と405の組合せは何度か登場している。
スピーカーシステムが決まり、アンプの候補として登場し、
最終的な組合せとしても、瀬川先生のKEFの104aBの組合せ、
井上先生のキャバスのブリガンタンとロジャースのLS3/5Aの組合せの両方に選ばれている。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」を何度も何度も読み返していた私には、
43号の表紙には、そこには写っていなくとも、QUADの405を感じる。
43号を手にしたときも、いまも、である。
AGIの511、QUADの405、セレッションのUL6の組合せ、
小粋なシステムだと思う。
42号の表紙も同じことを想像させる。