「スピーカー」論(いま読み返している)
ヤマハのNS5000のことを書くにあたって、
ダイヤトーンのDS10000のことを比較対象としている。
そのためステレオサウンド 77号、
ステレオサウンド創刊20周年記念別冊「魅力のオーディオブランド101」を読み返している。
77号には特集Components of The yearの、
JBLのDD55000とマッキントッシュXRT18のところも併せて読んでいる。
この年、ゴールデンサウンド賞として三機種のスピーカーシステムが選ばれている。
ひとつは大型ホーンを使ったフロアー型、そして高能率のスピーカーシステム、
ふたつめはソフトドーム型トゥイーターを複数使用したトゥイーターアレイが特徴であり、
能率は低めの、やや小さめのフロアー型。
みっつめは国産オーディオメーカー独自の3ウェイ・ブックシェルフという形態を、
最大限まで磨き上げたモノである。
まさに三者三様のスピーカーシステムが、
1985年のComponents of The yearのゴールデンサウンド賞になっている。
だからこそ、そこでの座談会がおもしろい。
77号にはダイヤトーンのDS10000の記事が9ページ載っている。
菅野先生が書かれている。
「魅力のオーディオブランド101」で、これらの記事と併せて読んでほしいのは、
ダイヤトーンのところである。
菅野先生と井上先生が郡山のダイヤトーンの試聴室を訪ねて、
2S305とDS10000を聴かれての座談会が載っている。
「魅力のオーディオブランド101」では、オーディオ評論家三氏が、
国内オーディオメーカーの試聴室を訪ねたものを中心に構成されている。
ただダイヤトーンでは、柳沢功力氏が都合が悪く参加できなかった、とある。
このことが、ダイヤトーンの記事をより面白くしていると感じている。
聞き手としての柳沢氏がいい。
柳沢氏が参加されていたら、違うまとめになっていたはずだし、
もちろんその方がよりおもしろくなるかもしれないが、
少なくともダイヤトーンの訪問記は、読み手が知りたいと思っていることを、
柳沢氏が、菅野先生、井上先生にストレートにきかれている。
いまステレオサウンドでは、過去のバックナンバーから記事を集めたムックを出している。
私は、ステレオサウンド 77号のComponents of The yearの座談会、
菅野先生のDS10000の記事、
「魅力のオーディオブランド101」のダイヤトーンの記事。
この三つの記事をひとつにまとめてほしいと思う。
スピーカーというモノをどう捉えるのか。
そのためのヒントが、これら三つの記事をまとめて読むことで得られるからだ。