バスレフ考(その6)
スピーカーシステムのエンクロージュアは、一種の箱である。
以前は四角い箱が大半をしめていたが、
最近では四角い箱の方が少なくなってきたように感じるほど、
さまざまな形状のエンクロージュアが登場してきている。
エンクロージュア内部では定在波が発生する。
四角い箱であれば、平行する面が三つあるわけだから、定在波が発生しやすい。
エンクロージュアを構成する六面をすべて正方形にすれば、
定在波の発生はもっとも顕著になるといえる。
エンクロージュアの寸法比を黄金比にしたほうがいいといわれているのは、そのためである。
四角い箱でなくともそれなりに定在波は発生する。
発生を完全に抑えることができなければ、
発生する定在波を分散させたほうが好ましい結果が得られる。
それには、四角い箱であるならば、
(その3)で書いているように、寸法比に充分な配慮を必要となる。
定在波はユニットの取りつけ位置によっても変化する。
それからバスレフ型であれば、バスレフポートの位置によっても、
定在波の影響の出方が変化してくる。
定在波をエンクロージュア内部で完全に処理できればいいのだが、それはいまのところできない。
この定在波はいろんな影響を与える。
そのひとつに、バスレフポートが定在波の放出口になることがある。