喫茶茶会記のスピーカーのこと(その8)
取り扱い説明書やカタログに載っていることでいえば、
JBLのホーンに関することもある。
スラントプレートの音響レンズ付きのホーンの場合、バッフルに取りつけることがで前提である。
JBLの4343や4350などのスタジオモニターの音響レンズ付きホーン+ドライバーを、
取り外してエンクロージュアの上に置く人がいる。
そういう人の多くはバッフル板に取りつけていなかったりする。
なぜJBLはスラントプレートの音響レンズ付きのホーンに限り、
バッフルへの取りつけを指示しているのかといえば、
音響レンズの後方が無負荷になるのをさけるためである。
つまりスラントプレートの音響レンズの場合、
音響レンズよりも大きなバッフル板に取りつけ、空気負荷を与える必要がある。
バッフル板に取りつけると、バッフルの材質によって音が変る、表面の処理によっても、
取りつけ方法によっても、ネジを締めるトルクによっても音が変る……、
ならばいっそのことバッフル板がなければ、バッフルのそういった影響から逃れられる──、
そう考えるのもいいし、それでいい音が得られればそれもいい、とは思う。
だが、その前に一度はアルテックやJBLの指定する方法で聴いてみるべきである。
その音を基本として、あれこれ試してみるのは、いい。
アルテックにしてもJBLにしても、無意味なことを取り扱い説明書やカタログに表記しているわけではない。
大事なことだから、守ってほしいことだから、書いているのではないだろうか。
使いこなしとは、人と違うことをやることではないはずだ。
と同時に、使いこなしはどこから始まるのかを、いまいちど考えてほしい。