世代とオーディオ(ガウスのこと・その11)
デンオンのSC2000は、ステレオサウンドの試聴室でじっくり聴いている。
新製品紹介は井上先生が担当されていた。
ステレオサウンド 81号に載っている。
SC2000の音は、ある程度記憶している。
それでも、その音は、ガウスの音といっていいのだろうか、
デンオンのスピーカーシステムとして、SC2000という型番が与えられている。
つまりは、ガウスのユニットを採用していてもデンオンの音として捉えるべきであろう。
デンオンは自社製のユニットにこだわっていない。
1970年代にはデンマークのピアレス社製のユニットを搭載したブックシェルフ型、
SC104、SC105、SC107といった製品を出していた。
それ以外にもやはりヨーロッパ製のユニットを採用した製品があった。
そういうスピーカーづくりをおこなってきたデンオンであるから、
SC2000の音を聴いたからといって、ガウスの音を聴いたとは言い難い。
井上先生も
《ガウスらしいボッテリとしたエネルギッシュな独特のキャラクターがほとんど姿を消し》と書かれている。
ただ、それでもガウスらしさは残っている。
といっても、私は何度も書いているようにガウスの音をほとんど知らない。
ステレオサウンド 81号では特集はComponents of The yearであり、
SC2000は賞に選ばれている。
そこでの音の評価は、ガウスの音と評価と読めるところがある。
長島先生は《中低域の量感や音の形の良さなどを買うんです》といわれ、
山中先生も《音の骨格みたいなものですね》といわれている。
菅野先生も同じことを表現をかえて発言されている。
《肉体がしっかりしている。今のスピーカーは肉体がないからね》
それゆえに上杉先生がいわれるように《聴きごたえする音》をSC2000は聴かせてくれる。
井上先生は、
《原にこたえる音がするからね。聴く方も体力がないと駄目って感じ……》と、
岡先生も《肉体の存在感は認める》といわれている。
ここで語られている音の印象は、私も感じていた。
これが、ガウスの音といっていいのであろう。