世代とオーディオ(ガウスのこと・その10)
3588はユニット単体でも販売されていたし、
このころになるとガウスの輸入元はシャープではなくヒビノ音響に変っていた。
3588ユニットをおさめたModel 7258が、とにかく私にとっての初めて聴くガウスの音だったわけだが、
正直、それほど印象に残っていない。
私が感じたことは、75号で細谷信二氏も指摘されている。
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一方のガウス7258は、ユニットの素姓としては、ワイドレンジ指向といえ、とくに中高域から高域にかけてのスムースなつながりの良さ、反応の機敏さは、このエンクロージュアに収められた状態では、まだまだ出し切れていないように思う。
エンクロージュアやネットワークのまとめ方次第では、811Bをしのぐものができる可能性は充分にもっているはずだ。
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ここでも、ユニットに対して、システムとしてのまとめ方のまずさが感じられる。
それにこれを書くために75号を読み返して気づいたのだが、
7258のエンクロージュアはガウスが作っていたものだろうか、という疑問が出てきた。
細谷氏は《同社指定のバスレフ型エンクロージュアにおさめたもの》という書き方をされている。
こういう書き方の場合、国産エンクロージュアの可能性が高い。
ガウスが設計し、輸入元のヒビノ音響が作ったエンクロージュアだとしたら、
同じ寸法のエンクロージュアであっても、
ガウスが試作品として作ったエンクロージュアにいれた音を聴いてみたかった、とも思う。
3588ユニットは、これで終りではなく、デンオンのSC2000にも採用されて、
再び聴く機会があった。
SC2000は1986年に登場したフロアー型である。
エンクロージュアのサイズはW59.0×H96.0×D45.4cmで、重量は66.0kgだ。