世代とオーディオ(ガウスのこと・その9)
ガウスのスピーカーとは縁がないまま、ステレオサウンドで働くようになった。
私が働きはじめた1982年には、ガウスはあまり話題にならなくなっていた。
私が初めて聴いたガウスはModel 7258である。
ステレオサウンド 75号に載っている。
1985年のことだ。
このころになると、ガウスもシステムをつくっていたようだが、
それらの情報はほとんど得られなかったし、聴く機会もなかった。
Model 7258は、同社の同軸型ユニット3588を搭載したモニタースピーカーである。
外形寸法はW73.7×H60.5×D44.7cm、重量は46.0kg。
アルテックの612C Monitorの外形寸法がW64.8×H74.9×D50.8cm、重量が53.0kgだから、
かなり近い寸法といえるし、7258がどういうモニタースピーカーなのかがある程度はわかる。
75号の特集は「実力はコンポーネントの一対比較テスト」で、
細谷信二氏がUREIのModel 811Bと比較試聴されている。
811Bの外形寸法はW67.3×H52.7×D48.3cm、重量は53kgである。
同軸型ユニットの3588は15インチ口径のウーファー(ボイスコイル径は3インチ)に、
2インチ口径のダイアフラムのホーン型を組み合わせている。
3588の外観上の特徴は、ホーンにある。
アルテックの604シリーズのマルチセルラホーン、604-8H以降のマンタレーホーン、
UREIのホーンとも違う形状をしている。
ガウスではCoshホーンと呼んでいた。
Coshホーンは横に広いホーンではなく、縦に長いホーンで、アヒルの口が開いているようでもある。
ポカンと口を開けているようにも見えて、試聴室では、別の例えもいわれていたが、
やや下品なので、ここでは控えておく。
75号ではUREIの801Bユニットと並べた写真がある。
これをみるとわかるように、3588はホーン搭載の同軸型ユニットとしては奥行きが短い。
にもかかわらず資料によると、ウーファー、トゥイーターのマグネット独立した構造である。
同軸型としては薄型といえる構造は、
ウーファーとトゥイーターのボイスコイル位置を接近させているためでもあると考えられる。
75号で細谷氏が書かれているように、ウーファーとトゥイーターの時間差は平面上で0.3msecと小さい。
UREIがネットワークでタイムアライメント補正を行っているのに対して、
ガウスはネットワークによる、そういった補正は必要ないとしていた。