世代とオーディオ(ガウスのこと・その3)
そんな妄想をしていた高校時代にはインターネットはなかった。
技術的な資料を得ようとしても、なかなか目的の資料にたどりつくことはできないことも多かった。
だから4350のネットワークがどうなっているのか、正確には何も知らなかった。
4350Aのユニットをガウスに換装する──、
これは実のところ、そう簡単なことではないというのは、後になってわかった。
4350のネットワークの回路図を見て、はじめてわかった。
以前書いているように、4350のミッドハイ(2440)に対するネットワークは、
ローカットフィルターのみである。
ハイカットフィルターはない。
2440がエッジの共振を9.6kHz利用して高域をのばしているため、
これより上の周波数では音圧が急峻に減衰していく。
いわば音響的ハイカットフィルターつきドライバーである2440(375もそうである)だから、
4350のようなネットワーク構成ができる。
ここに設計思想の異るドライバーを持ってくるとなると、
なんらかのハイカットフィルターが必要となる。
それに4350Aではミッドバスとミッドハイにはレベルコントロールもない。
4350において、音楽の中核を成す帯域に関しては、アンタッチャブルとなっている。
この点に関しても、JBLからガウスへの換装はすんなりいくわけではない。
でも、当時はこんなことは知らなかった。
だから妄想が楽しめた、ともいえる。
ガウスに換装したら、システムトータルの重量が増す。
大雑把にいって、ガウスのユニットはJBLのユニットよりも約4kgほど重い(カタログ上の比較)。
トゥイーターは約2kgの差だから、約18kg重くなる。
ユニット個々の価格もガウスが高かった。
重くなり高くなる。
こんな単純なことを電卓片手に計算しては喜んでいた。