世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その6)
ステレオサウンド 73号の特集、Components of the years賞。
オンキョーのGS1はカウンターポイントのパワーアンプSA4とともに、この年のゴールデンサウンド賞でもある。
岡俊雄、井上卓也、上杉佳郎、菅野沖彦、長島達夫、柳沢功力、山中敬三、
七氏の座談会で、GS1について語られている。
GS1についての座談会のまとめは三ページ、
SA4のそれは二ページと、同じゴールデンサウンド賞受賞機種であっても、扱いに差があるとみることもできる。
GS1についての各氏の発言を読んでいくと、いくつかの注文がつけられている。
まず、その能率の低さがある。
カタログ値は88dB/W/mである。
いまどきのスピーカーシステムとしての低い値とはいえないけれど、
GS1は1984年登場のスピーカーシステムで、しかもオールホーン型でもある。
この88dBという値は、ホーン型としてはかなり低いといわざるをえない。
ただ、カタログをみると、100dB/W/mとも書いてある。
こちらの値は外部イコライザー使用時のもので、
この100dBがGS1本来の出力音圧レベルということになる。
なのになぜ12dBも低い値になっているのか。
この点について、菅野先生の発言はこうである。
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ただし、スピーカーはどんなスピーカーでもそうですが、いろんな点であちらを立てれば、こちらは立たずということろがあり、このスピーカーも、何でもかんでも全面的にいいスピーカーというふうに理解すると問題もあろうかと思います。
例えば、オールホーンシステムで、あんなに低い能率しか持っていない。その低い能率というのは、結果的に高い能率のものを、かなりアッテネーターで絞り込んで使っているからですが、そういう点では変換機としてある部分、全く問題がなしとも言えないと思います。
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72号のGS1の記事には、この点に関しての記述がある。
高域ホーン部の端子部分の写真の下に、
周波数特性補正用イコライザーをネットワークに内蔵するため能率は88dB/W/mでしかないが、とある。
周波数特性を良くするために能率を12dB犠牲にしているわけである。
もっともネットワークでそういう補正を行っている関係で、最大入力は高い。
カタログには300Wとあり、瞬間最大入力は3000W(3kW)である。