Date: 10月 14th, 2015
Cate: 世代
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世代とオーディオ(あるスピーカーの評価をめぐって・その3)

オンキョーのGS1が、ステレオサウンドに初めて登場したのは71号(1984年夏)である。
71号には、GS1の広告も載っている。

それまでのオンキョーの広告、他の製品の広告とはかなり印象の違う仕上りであった。
このときのGS1の広告のキャッチコピーは、こうだった。

マーラーの「響き」を再現できるか?
ブラームスの「影法師」の漂いを再現できるか?
ベルリオーズの「幻想」表現のひだを再現できるか?

キャッチコピーが三本、つまりカラー6ページの広告だった。
ひとつの製品でカラー6ページの広告は、過去に例があっただろうか。

それに応えるわけではないのだが、GS1の記事もカラー扱いだった。
菅野先生が書かれている。

GS1がなぜ生れてきたのかについて書かれている。
     *
 オンキョーは、 もともと、スピーカー専門メーカーである。そのンキョーが今回発売した「グランセプター」は、同社の高級スピーカーシステム群「セプター・シリーズ」の旗艦として登場した。しかし、このシステムは元来商品として開発されたものではなく、研究所グループが実験的に試作を続けていたもので、それも、ごく少数の気狂い達が執念で取組んでいた仕事である。好きで好きでたまらない人間の情熱から生れるというのは、こういう製品の開発動機として理想的だと私は思う。ただ、情熱的な執念は、独断と偏見を生みがちであるから、商品としての普遍性に結びつけることが難しい。
 変換器として物理特性追求と具現化が、どこまでいっているかに再びメスを入れ、従来の理論的定説や、製造上の問題を洗い直し、今、なにが作れるか、に挑戦したオンキョーの研究開発グループの成果が、この「グランセプター」なのである。そして、その結果が音のよさとしてどう現われたか? このプロトタイプを約一年前に聴く機会を得た私は、条件さえ整えば、今までのスピーカーから聴くことのできないよさを、明瞭に感知し得るシステムであることを認識したのであった。
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そして、GS1の、システムとしての大きな特長と、その成果について書かれている。
そして最後にこう書かれている。
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 使用にあたっては、かなり厳格に条件を整えなければならない。決してイージーに使えるようなシステムではない。それだけに条件が整った時の「グランセプター」は得難い高品位の音を聴かせるのである。
 とにかく、この徹底した作り手側のマニアックな努力と精神は、それに匹敵した情熱をもつオーディオファイルに使われることを必要とし、また、そうした人とのコミュニケイションを可能にする次元の製品である。そして過去の実績を新たなる視点で洗い直して、歩を進めるという真の〝温故知新〟の技術者魂に感銘を受けた。
(全文は”the re:View (in the past)“で公開している。)
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GS1の、この記事は”THE BIG SOUND”である。
カラー三つ折りの記事であり、扱いとしてもっとも目立つ記事としてつくられている。

ステレオサウンドは注目の新製品をカラーページで扱う。
同じカラーページであってもページ数に違いがある。
このころのステレオサウンドはそうだった。

“THE BIG SOUND”は、注目製品の中の注目製品というわけである。
三つ折りの”THE BIG SOUND”は71号で終り、
72号からは”BIG New SOUND”となり通常のカラーページになった。

GS1は翌72号にも登場している。

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