Date: 10月 11th, 2015
Cate: 世代
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世代とオーディオ(その12)

別冊FMfan 10号の特集は創刊10周年記念でもあり、「エア・チェックのすべて」である。

巻頭には五味先生が登場されている。「FMエア・チェック・マニア言行録」と題して、
五味先生のリスニングルーム訪問と五味先生のNHK訪問の二本立てからなっている。

いまでは考えにくいことだろうが、
このころはエアチェック(FM放送)が特集となることもあった時代だ。
それほどエアチェックが盛んだった。

エアチェックとは、本来はプロ用の言葉である。
放送局からの電波が正しく送信されているのかをチェックするから、エアチェックなのである。

それがいつしか一般の人たちが、
家庭で放送されたものをテープ録音することを指す言葉として使われるようになっていった。

いまでこそFM局はいくつもあるが、
1970年代は東京でもNHK FMと東京FMの二局のみだった。
アメリカのような音楽ジャンルの専門局など夢のまた夢として語られている時代だった。

とはいえ、むしろだからこそなのかもしれない、
FM放送を受信して、テープに録音するという行為(エアチェック)を熱心に行っている人の数では、
アメリカ以上に多いのではないか、ともいわれていた。

私も高校生だったころ、エアチェックをやっていた。
私が住んでいた熊本には民放のFM局はなかった。
NHKのみがエアチェックの対象だった。

カセットデッキは一台だけだったこともあって、
バイロイトの放送の録音には挑戦しなかった。
レコードを自由に買えていたわけではないので、もっぱらレコードが放送されたのを録音していた。
そして気に入ればレコードを購入していた。

レコードを買いたくなることもあれば、
録音したものでいいや、と思うものもあるし、
消去して他の録音に使うこともあるのは、多くの人は同じだろう。

エアチェックしたものは、消すことができる。

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