対称性(その4)
EMTの927DstとB&OのBeogram 4002。
EMTのアナログプレーヤーは、スタジオでの使用を考えてのアナログプレーヤーである。
もっといえばスタジオでの使用のみを考えて設計されたアナログプレーヤーである。
ここでいうスタジオとは放送局のスタジオでもあるし、
レコード会社の録音スタジオでもある。
そういう場で使われるEMTのプレーヤーは扱うのは、それぞれのプロフェッショナルであり、
その意味でもEMTのプレーヤーは、プロフェッショナル用である。
B&Oは、まるで違う。
そういったスタジオでの使用はまったく想定されていない。
家庭で使うアナログプレーヤーであり、
Beogram 4002のデザイナーのヤコブ・イエンセンは、
「モダン・テクノロジーは、人間の幸せのために奉仕すべきものだ」という。
(ステレオサウンド 49号「デンマークB&O社を訪ねて」より)
さらに「オーディオ機器は、トータル・ライフの中で、音楽を楽しむという目的で存在しているはずだ」ともいう。
Beogram 4002だけではない、
レシーバーのBeocenterシリーズも、まさしくイエンセンのことば(主張)が、
それに振れることではっきりと理解できる。
B&Oのアナログプレーヤー(他の製品も含めて)、完全なコンシューマー用である。
EMTのアナログプレーヤー(930st、927Dst)には、モダン・テクノロジーはそこからは感じとれない。
人間の幸せのために奉仕すべき機器として開発されたモノとも思えない。
ましてトータル・ライフの中で音楽を楽しむという目的で存在しているわけではない。
そういうふたつのアナログプレーヤーが、
瀬川先生の著書「続コンポーネントステレオのすすめ」の221ページでは上下に並べて掲載されている。
編集部にどういう意図があったのは不明だが、実に示唆に富む一ページだと思う。