本末転倒だったのか(その7)
多くのアナログプレーヤーのターンテーブルプラッターは、いわゆる円盤であり、
どんな形状であれ穴が開けられているモノはないのではないか。
930st、927Dstのメインプラッターはアルミのダイキャストである。
この穴はダイキャストの型の時点で設けられているのか、
それとも型から取り出した後に穴開け加工を施すのか、どちらなのかは私に知らない。
金属加工の素人考えでは、穴がないほうが造るのは手間がかからないのではないか。
EMTはわざわざ穴を開けている。
この理由が正直わからなかった。
ステレオサウンド 52号でメインプラッターに八つの穴があるのを知ってずいぶん経ったころ、
930st、927Dstのメインプラッターが、車のホイールに思えてきた。
そうすると、930st、927Dstのメインプラッターの外周にはゴムリングがはめられている。
これは鳴き止めであり、タイヤなわけはないのだが、
外周にゴムというところも車のホイールに似ている。
ホイールもターンテーブルプラッター、どちらも回転体である。
EMTのメインプラッターの裏側をみると、
短いけれど中心部からリブが伸びているのがわかる。
こういうところもホイールっぽい、と思えてくる。
優秀なホイールと優秀なターンテーブルプラッターには共通するところがあるのかもしれない──、
いつのころからかそう思うようになってきた。