Date: 8月 30th, 2015
Cate: デザイン, 老い
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ふたつの「T」(その1)

2020年東京オリンピックのエンブレムに関する騒動は、どうなっていくのだろうか、
そして関係者はどうするのか。

佐野研二郎氏のデザインには原案があり、
その原案はあるデザインと似ていたため修整が加えられ、発表されたものとなった。
その原案は公表するつもりはない、と大会組織委員会が語っていたけれど、
結局、原案は公表された。

そして、その日のうちに、この原案が何に似ていたのかが、インターネットでは話題になっていた。
すでにご存知の方も多いだろう。

「佐野研二郎 ヤン・チヒョルト」で検索すれば、いくつものサイトがヒットする。

佐野研二郎氏の原案は2013年に開催された、ヤン・チヒョルト展のロゴと、
その構成要素(長方形と三角形、円形)は同じだし、
その配置も基本的に同じである。

パクリだ、盗用だ、と騒然としている。

どちらもアルファベットの「T」である。
けれど受ける印象は大きく違う。
パクリというよりも、もはや劣化コピーとしかいいようがない。

ふたつの「T」の違いは、言葉にすればわずかである。
にも関わらず、大きな違いが印象として残る。

「細部に神は宿る」
昔からいわれていることを、これほど実感できることはそうそうない。

佐野研二郎氏を糾弾しようとは思っていない。
ふたつの「T」を見較べながら、自分自身も劣化コピーになっているかもしれない、と思わされた。

川崎先生の8月11日のブログ、『ハーバート・バイヤーを忘れた「デザイン風」の闘争』を思い出していたからだ。

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