オーディオ入門・考(その9)
(その1)で書いた《オーディオに興味を持ち始めたばかりの人に薦められるオーディオ機器の条件とは? 》。
ふと思い出したのは、1982年に登場したサウンドハウスというブランドのことだ。
いくつかのオーディオ販売店が協力してつくりあげたブランドだった。
旗振り役はダイナミックオーディオだったと記憶している。
プリメインアンプのSH-A20(¥208,000)、ペアとなるチューナーのSH-T10(¥100,000)、
アナログプレーヤーのSH-B19(¥190,000)が出ていた。
軌道にのればスピーカーシステムやカートリッジなども出していったのかもしれないが、
短命でいつの間にか消えていた、という感じだった。
販売店の人たちが、直接オーディオマニア(ユーザー)と接している。
その彼らが自分たちが売りたいモノをメーカーに開発製造してもらい、自分たちで売っていく。
サウンドハウスの広告を見て、うまくいったらおもしろそうだと思った。
けれどうまくいかなかったようだ。
もしサウンドハウスの製品が、他社製のアンプやアナログプレーヤーよりも売れてしまったら、
メーカーとしてはおもしろいわけがない。
サウンドハウスのアンプやアナログプレーヤーを製造しているメーカーであっても、
自分たちが企画し開発した製品よりも、
販売店の人たちが企画した製品が売れるということは、痛しかゆしだったのか。
記憶違いでなければプリメインアンプはマランツだった。
実際SH-A20のフロントパネルは、マランツ製であることがすぐにわかる。
SH-B19はマイクロだったはず。
チューナーはどこだったか……、忘れてしまった。
サウンドハウスが狙っていたユーザー層は、
いちばん厚い客層であったと思われる。
自分たちのブランドで出す以上に売れるモノにしたい。
よく売れれば利益も大きくなる。
そうであれば1982年当時、
プリメインアンプは20万円、アナログプレーヤーも20万円の価格帯ということになるのか。
この価格のプリメインアンプ、アナログプレーヤーを買う人たちは、
すでにオーディオマニアであり、マニアになって数年は経っている。
ここで、もし……と考える。
サウンドハウスが入門機としてのモノを真剣に考えていたら……、である。
どんなモノが登場してきたであろうか。