老いとオーディオ(余談・その5)
ウエスギのU·BROS3とマイケルソン&オースチンのTVA1は、
KT88のプッシュプルアンプということで比較しがちだが、
確かにこのふたつのKT88のプッシュプルアンプは比較してみることが興味深い。
シャーシーは、TVA1はクロームメッキ、U·BROS3はアイボリーといったらいいのか、塗装仕上げである。
そのシャーシーの上にトランス、真空管が配置されるわけだが、
その配置もU·BROS3は四本のKT88を前面に横一列に並べている。
KT88の後方に電源トランスと出力トランスが、これまた横一列に並んでいる。
電圧増幅管はトランスの後に控えている。
TVA1は出力トランスと電源トランスをシャーシーの両端に振り分けている。
真空管はシャーシー中央に集められている。
手前から電圧増幅管、出力管と縦二列で並ぶ。
入出力端子も配置も対照的だ。
U·BROS3ではシャーシー後部にある。シャーシー前部にあるのは電源スイッチ。
TVA1ではシャーシー前部に電源スイッチの他に入出力端子を配置している。
U·BROS3は左右対称に整然と主要パーツを配置している。
TVA1は電源トランスを左右独立させ二電源トランスであったならば、ほぼ左右対称のコンストラクションとなるが、
電源トランスはひとつで、そこには電源の平滑コンデンサーが二本立っている。
二列の真空管も、よく見ると出力トランス側にやや寄っている。
出力トランス(二つ)と電源トランス(一つ)、
計三つのトランスが使われているのはU·BROS3もTVA1も同じだが、
U·BROS3はラックス製のケースにおさめられたトランス、
TVA1は巻線のところにクロームメッキのカバーをつけただけで、コアは露出したまま。
こういった外観の違い以上に内部の配線は、もっと対照的といえる。