私的イコライザー考(音の純度とピュアリストアプローチ・その9)
この項の(その3)で、
ブルーノ・ワルターのデジタルリマスターのLPを買った、と書いた。
LP(アナログディスク)なのに、デジタルリマスター。
いうまでもなくワルターの録音はすべてアナログ方式によるもの。
それを一旦デジタル信号に変換して信号処理。
それをまたアナログ信号に変換する。
多くの人が、ソニーはなんてバカなことをするんだろう、と思っていたはず。
私だってそう思っていた。
そんなことをすれば音の鮮度、純度といったところは明らかに劣化する。
しなくてもいい処理を、なぜソニーはやるのか。
そんな疑問をもちながらも、当時ブラームスの交響曲第四番を、
とにかくいろんな人の指揮で聴いてみたかった私は、
ワルターの四番はもっていなかったので、
廉価盤で安いということもあって、とにかく買って聴いてみよう、と思った。
音がどうしようもなく悪かったら、
編集後記に書こう、などと思いながら、音を聴いた。
聴いてみると、悪くないどころか、むしろいい音に聴こえる。
日をあらためて聴いてみても、悪くない。
ワルターのブラームスの四番のオリジナル盤は聴いたことがないから、
それとはどの程度の音の違いがあるのかは知らないが、
とにかく国内盤、アナログ録音なのにデジタルリマスター。
私にとって、いい音がするとは思えない組合せのレコードなのに、
予想に反する音が鳴ってきた。
実は、このことも、私の中では、いま書いている「冗長と情調」に関係してくることがらである。