名器、その解釈(Technics SP10の場合・その11)
テクニクスのSP10の性能の高さを誰もが認めるところだが、
SP10のデザインとなると、私は最初見たときに、相撲の土俵を思い浮べてた。
いまも土俵だな、と思ってしまう。
台形の台座に、円形のターンテーブルプラッター。
ターンテーブルプラッターは中心ではなくやや右側に寄っている。
つまり優れたデザインだと思っていない。
けれどテクニクスはMK3まで、このデザインを変更していない。
私だけが優れたデザインと思っていないのであれば、それも理解できるのだが、
SP10のデザインは、ステレオサウンドを読んでもわかるように、決して高い評価を得てはいない。
SP10MK2が新製品として登場した時にも、デザインについて、井上先生と山中先生が語られている。
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山中 このスタイルというのは、人によって好き嫌いがはっきり分かれそうですね。
僕個人としては、モーターボードの高さの制限を相当受ける点に、問題点を感じてしまうのですけれども、これは、実際にアームを取りつけて使ってみると、非常に使いにくいんです。
井上 モーターボードをもっと下げて、ターンテーブルが突き出たタイプの方が使いやすいと思いますね。
山中 ターンテーブルの、ひとつのベーシックな形というのは、昔からあったわけです。プロ用の場合には、そういったものに準拠して作っているはずなんです。
なにもここでSP10の最初のモデルを固執する必要は、まったくないと思います。性能的にも、まったくの別ものといえるわけですし、旧型に固執しないほうがこのターンテーブルの素晴らしさが、もっとも出されたのではないかと思います。
(ステレオサウンド 37号より)
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かなり厳しく言われている。
これは井上先生、山中先生とものSP10の性能の高さは認められていて、さらなる改良が加えられ、
それだけでなくより洗練されて名器と呼べるモノになってほしいという気持からの発言ではないのか。
それだけの期待をSP10に対して持っていた、ということでもあろう。
けれど、テクニクスは名器よりも標準原器をめざしていたのであれば、
SP10の、あのデザインも、変更を加えなかったことも、理解できるような気がしてくる。