日本のオーディオ、これまで(続ハンダ付け)
魚を焼く網へのハンダ付け。
山水電気だけでなく、他の国産メーカーもやっていたところはあるし、
やっていないとこもあっただろう。
この研修をやっていたメーカーの工場でハンダ付けを担当されていた人たちは、
このことは出来てあたりまえのハンダ付けの腕前であったわけだ。
当時の国産のオーディオ機器は、そういう人たちの腕前によって作られていた。
いまはどうなっているのたろうか、と思う。
いまも同じレベルのところもあるだろうし、
そうでないところもあると思う。
そして、想像でしかないのだが、後者のほうが増えて来つつあるのかもしれない。
それだけではない、海外はどうなのか、とも思ってしまう。
海外製品の中には、ひじょうに高価すぎるオーディオ機器がある。
それらは、国産メーカーのハンダ付けと少なくとも同等、もっと上のレベルなのだろうか。
ついそんなことを考えてしまう。
ハンダ付けは基本である。
だからこそ、たとえば往年の管球式アンプを修理もしくはメンテナンスに出す際には、
ハンダ付けの技術を確認するのもひとつの手だといえる。
多くの業者が、完璧なメンテナンスを行います、と謳っている。
オリジナルパーツを使います、とか、よりよいパーツと交換します、とか。
そんなことよりも大事なのは、メンテナンスを施す人のハンダ付けの技術である。
調子のいいことをいう業者はいる。
それだけではない、自分より上の技術を目にしたことがない人は、
自分のレベルが高いと思い込んでいることだってある。
そういう人に、大事に使ってきたオーディオ機器の修理をまかせても平気な人はいない。
そういう人を見抜くには、魚を焼く網にハンダ付けをしてもらうのもひとつの手である。
そして、ハンダ付けが終った網を硬いものに力いっぱい叩きつける。
ハンダがひとつも落ちなかったら、その人のハンダの技術はしっかりしたものといえる。
ボロボロ落ちるような人には、決して愛器の修理はまかせてはいけない。