Date: 5月 13th, 2015
Cate: 真空管アンプ
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五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その3)

真空管アンプにおけるトランスの配置はパズルのようなものである。
トランス(チョークコイルをふくめて)は、相互干渉の大きな部品である。
どんな部品でも周囲の影響を受けない、周囲に影響を与えないものはないけれど、
トランスはその中でもっとも大きな部品だけに頭を悩ます存在である。

いちばん確実で簡単な解決方法は十分な距離をとることである。
だがそれでいいアンプが作れるか、という問題が生れてくる。
音さえ良ければ無様なアンプでもかまわないという人であればそれでいいだろうが、
そんなモノを自分で使いたいとも思わないし、作りたいとも思わない。

そしてそんなバラック的なアンプを、初心者にすすめることだけはやってはいけない。

とにかくトランスの配置を考えていくのは、
重量バランス、振動のことも含めてのことだけに、けっこう楽しい作業といえる。

トランスの配置ということでは、初心者にむいているのはステレオアンプではなく、
モノーラルアンプである。
モノーラルにすることでシャーシがふたついるし、電源トランスもそうなる。
いくつかの部品がステレオアンプよりも余計に要り、その分コストもかかるから、
初心者向きとはいいにくくなってくるけれど、アースの処理も含めて、モノーラルのほうが作りやすい。

けれどインターネットでときおりみかける「五極管シングルアンプは初心者向き」は、
おそらくステレオアンプのことであり、モノーラルで作ることではないように受け取っている。

この点に関しても、「五極管シングルアンプは初心者向き」には何も触れていないのが多い、
というかほとんどである。
それに初心者向き五極管シングルアンプとは、
特定の製作記事のことを指しているのかも、はっきりとしていない。

ただ五極管シングルアンプは初心者に向いている真空管アンプだ、と書かれているのが多過ぎる。

五極管シングルアンプの回路構成はどうするのか。
電圧増幅段は一段なのか二段なのか、
NFBはどうするのか、かけるとしたらどの程度かけるのか、
出力管をどう扱うのか(五極管接続なのか、UL接続なのか、三極管接続なのか)、
これらの基本的なことにふれずに、
「五極管シングルアンプは初心者向き」が増殖していっているような感じを受けている。

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